舞踊学会 第20回定例研究会

舞踊学会第20回定例研究会
会員の皆さまへ

 
 舞踊学会第20回定例研究会を下記の要領で開催致します。
 皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げます。
   ※学会員に限らず参加はできます。

 1.日時:2015年6月7日(日)9:30〜17:00
   ※発表者多数のため、開催時刻が変更になりました。

 2.会場:日本大学芸術学部江古田校舎
   http://www.art.nihon-u.ac.jp/information/access.html
   西武池袋線江古田駅北口より徒歩3分
   都営地下鉄大江戸線新江古田駅より徒歩13分
   ※入場無料 あらかじめの参加申し込みは不要

 3.内容
 @定例研究会(9:30〜):一般研究発表
 A若手研究者によるシンポジウム
  「アジアにおける伝統の再創造と再構築」(14:05〜)
 

《プログラム》

 受付開始:9:00 東棟2階 E-207教室前
 ■一般研究発表 会場(東棟2階 E-207教室)

 
<12:15−13:15 昼休み>(理事会 西棟2階第3会議室)
 

 ■一般研究発表 会場(東棟2階 E-207教室)

 ※それぞれ30分発表の場合は15分の質疑、20分発表の場合は10分の質疑となります。

 
<14:00-14:05 移動>
 

 ■若手研究者によるシンポジウム「アジアにおける伝統の再創造と再構築」

会場:東棟1階 E-102教室
司会:川島 京子(早稲田大学文学部助教)

 第一部

 
<15:35-15:45 休憩>
 

 第二部

16:55-17:00  ご挨拶 柴 眞理子(舞踊学会会長)

 

【趣旨】

このシンポジウムには三つの狙いがあります。

一つめは「伝統」という語の概念について見つめ直すことです。文化人類学者の青木保氏は「「伝統」ということばは、歴史学においては常用される一般的な用語であろうが、人類学では「伝統」なることばは、それほど一般的ではない。」(『創られた伝統』所収 解説「「伝統」と「文化」」)と述べておられます。いま、「伝統」という語はどのように用いられているのでしょうか。

いっぽうで、舞踊や身体表現、芸能の分野では文化人類学、舞踊学的動作研究、舞踊史研究の各立場からの研究が活発になっています。二つめは「伝統」を軸にした学際研究を見据え、各研究方法の根底にある基本的な考えや傾向に触れていただきます。

三つめは近・現代史において我々は「伝統」とどのように向き合ってきたのでしょうか。ことに不幸な歴史を背負うアジア諸国を事例に精鋭の若手研究者が最新の研究テーマに基づき、「伝統」が直面している課題や将来の展開について鋭く斬り込みます。

 

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竹村 嘉晃(人間文化研究機構地域研究推進センター研究員/現代インド地域研究国立民族学博物館拠点研究員)

[要旨]グローバル化が進む現代社会において、インドの伝統的な舞踊文化は、人の移動と技法の伝承に伴い世界中で教授・実践されている。インド系移民が19世紀末から居住していたシンガポールでは、インドの芸能が国家と密接に結びつきながら発展してきた。本発表では、インドの舞踊文化がシンガポールにおいて「ナショナルなもの」と位置付けられていく過程を紐解きながら、現代社会において伝統を支える多元的な位相について考えたい。

[プロフィール]専門は芸能人類学、南アジア地域研究。博士(人間科学)。近著「踊る現代インド―グローバル化のなかで躍動するインドの舞踊文化」『現代インド6環流する文化と宗教』(東京大学出版会)、『神霊を生きること、その世界』(風響社、2015年5月)。

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木村 理子(東京外国語大学外国語学部・国際社会学部・総合国際学研究科非常勤講師)

[要旨]今日モンゴルの「民族文化」「伝統文化」と称されるものは、ソ連が選定し、社会主義政策が創り上げたものである。例えば、社会主義政策は、本来のチャムを途絶えさせ、儀礼要素を排除した「チャム・ダンス」の創作上演によって、チャムと「チャム・ダンス」とのすり替えを図ろうとしてきた。それにより、民主化後、寺院において復興したチャムと歌舞団による「チャム・ダンス」が「モンゴルのチャム」として並存する状態が続いている。さらに、今日のモンゴルの民族舞踊や民族音楽も社会主義政策が創り上げた「伝統文化」のひとつである。発表では、社会主義政策による「伝統」の創造と継承の問題について、今日のモンゴルの「伝統文化」を一事例として紹介していく予定である。

[プロフィール] 専門はモンゴル演劇・モンゴル文化・チャム研究。チャム研究にてモンゴル国家博士(史学)、モンゴル現代演劇史研究にて博士(学術)。単著『モンゴルの仮面舞儀礼チャム――伝統文化の継承と創造の現場から――』(風響社、2007年11月)ほか。

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波照間 永子(明治大学情報コミュニケーション学部准教授)

[要旨]琉球王朝時代、組踊と端踊(舞踊)は男性士族が外交職務の一環として担う「男芸」であった。王朝崩壊後、これら「男芸」の命脈は芸能に携わった士族の下野により芝居を興行する男優たちに引き継がれ、戦後は女性たちが琉球舞踊界の主流をなすに至った。本報告では、琉球舞踊において「女芸」が成立・展開する過程を女性舞踊家のオーラル・ヒストリー研究を柱として、@米国統治下の文化政策、Aメディアによる文化復興運動(コンクールと「型」の研究会)、B沖縄県立芸術大学の組踊・舞踊実習、C国立劇場おきなわ研修制度、D琉球舞踊保存会(国指定重要無文化財指定)伝承者研修制度と絡めて考察する。

[プロフィール] 学振特別研究員PD、群馬県立女子大学講師を経て現職。博士(学術)。論文「踊り継がれるミクロネシア“南洋群島”の表象」『文化人類学研究』第14巻(2013年)他。国指定重要無形文化財「琉球舞踊保存会」伝承者。

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高橋 京子(フェリス女学院大学文学部准教授)

[要旨]南インド発祥の伝統的なマーシャルアーツ、カラリパヤットは、現在では日本をはじめ、欧米を中心に広がりを見せている。当然そこでは、カラリパヤットは新たな解釈のもと実践されている。一方、現地においても都市化の進む地域では、国外を意識し伝承されている。発表者も日本においてカラリパヤットを実践する。そこで本発表では、実践者としての視点からカラリパヤットをめぐる現状について考える。

[プロフィール] 専門は舞踊人類学。病気治癒、健康にかかわる身体表現の研究を行う。博士(社会学)。「舞と武の融合のかたち‐南インドのマーシャルアーツ、カラリパヤット」『舞踊学の現在 芸術・民族・教育からのアプローチ』(文理閣 、2011年3月)所収他。

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岩澤 孝子(北海道教育大学教育学部准教授)

[要旨]ピチェ・クランチェンは、タイでは至高の舞踊芸術とされる仮面舞踊劇「コーン」の舞踊技術を習得し、タイの古典舞踊を再構築してコンテンポラリーダンスへと昇華することに成功したダンサーである。自国の古典/伝統舞踊が主流とされるタイの舞踊界において、伝統舞踊を再解釈し現代に活かす手法としてのコンテンポラリーダンスの可能性について、ピチェの作品を通じて考察する。

[プロフィール] 広島大学大学院修了。専門は民族音楽学、舞踊学。博士(学術)。タイの伝統芸能に関する民族誌的アプローチをコミュニティアートやコンテンポラリーダンスに応用し、現代的なアートの形と社会の関係性へと研究領域を広げている。

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川島 京子(早稲田大学文学部助教)

[プロフィール] 早稲田大学演劇博物館招聘研究員。専門は日本バレエ史。『エリアナ・パヴロバによる日本へのバレエ移植』で博士号(文学)取得。『日本バレエの母 エリアナ・パヴロバ』(早稲田大学出版部、2012年3月)を上梓。現在は戦後バレエブームを研究。

 
<例会企画運営委員会>

委員長:

遠藤 保子 (立命館大学・担当理事)

委  員:

尼ヶ崎 彬 (学習院女子大学・担当理事)


岡本 悦子 (就実大学・担当理事)


丸茂 美惠子 (日本大学・担当理事)


川島 京子 (早稲田大学)


小林 直弥 (日本大学)


高橋 京子 (フェリス女学院大学)

 
連絡先:丸茂 marumo.mieko*nihon-u.ac.jp
*を@にかえて送信してください。